企業分析の手法と考え方はこちらで確認してください http://business-analysis.hateblo.jp/entry/2013/08/17/155305 |
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企業名 | エバラ食品工業(2819) | ||
総評 | 焼き肉のたれや浅漬けの素などで圧倒的シェアを有しており、市場に置いても高いプレゼンスを発揮している。内食化や用途の拡大によって市場を開拓しており、実績も再拡大する傾向を見せているが、収益性の悪化が見られ今後改善を要する状況である。 | ||
将来予測 | 東日本大震災の影響によって売上を落としていた浅漬けの素が回復傾向にある等のプラス要因などもあり第一四半期は前年同期比をプラスで推移しており、残暑が長引く等の気候要因が発生しなければ前年越えも可能と見られる。 また中長期的にも市場性のあるメニュー領域で事業を展開しており、実績の再拡大が期待されるが、低い水準に達しつつある営業利益など収益性の悪化が懸念される。 |
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事業・業績の概況 | 主な事業は肉まわり調味料事業(業務用含む、構成比46%、前年同期比97.6%)、鍋物調味料事業(構成比25.9%、前年同期比106.0%)、野菜まわり調味料事業(構成比11.2%、前年同期比94.0%)となっており、その他にはその他家庭用・業務用商品に加えて物流や広告事業が含まれている。 売上の多くを占める肉まわり調味料事業の大半は焼き肉のたれで占められているが、主力の「黄金の味」などは好調だったもののその他の不振に終わった商品群のマイナス分はカバーできていない。鍋物調味料事業はプロモーション効果により「すきやきのたれ」や「キムチ鍋の素」などが牽引し売上を拡大している。野菜まわり調味料事業は前期好調だった「浅漬けの素」が反動で苦戦し前期実績を割っているものの前々期を超える水準を確保している。 |
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事業環境 ポジショニング |
肉まわり調味料事業の大半は焼き肉のたれで占められており、主な競合企業としては日本食研、ダイショー、モランボンが挙げられ、同社は他社を大きく突き放しトップシェアを獲得しているものと見られる。市場は牛肉関連として古くはBSE、直近ではユッケ食中毒問題やセシウム検出など消費者の牛肉に関する消費意欲を減退させるような問題が相次いでおり、市場は停滞気味であるが、内食化が進む等追い風となる要因もあり、アプローチの仕方次第では拡大に転じることも可能と考えられる。 鍋物調味料事業はすきやきのたれと鍋つゆで大半を占められている。すき焼きのたれでは、競合企業としてはヤマサ醤油やキッコーマン食品が挙げられるが、同社は市場の過半数以上のシェアを有していると見られ、圧倒的な構成比で首位となっている。市場は、同社がトップ企業として幅広いメニュー提案を行っていることで用途に広がりが見られ、市場は拡大している。鍋つゆでは、競合企業としてはダイショーやミツカンが挙げられ、同社は2位グループに属しているものと見られる。市場はカレー鍋やトマト鍋に続くヒットメニューに恵まれない状況ではあるが、高まる内食化や消費の冷え込み等を背景に拡大傾向にある。 野菜まわり調味料事業は浅漬けの素が大半を占めており、競合企業としてヤマキや永谷園が挙げられるが市場の過半数以上を同社が獲得していると見られ、寡占市場となっている。市場は中高年齢層を中心としたヘビーユーザーに支えられており、同社のTVCM効果等もあり拡大基調にあるが若年層ユーザーの一層の取込みが今後の市場拡大には欠かせない。 |
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主な株関連指標(2013/8/25時点) | |||
株価 | 年足最高値 | 年足最安値 | 時価総額 |
1461円 | 1619円 | 1435円 | 18114百万円 |
一株配当(実) | 配当利回(実) | PBR | PER |
27円 | 1.85% | 0.75 | 20.07 |
業績推移(単位:百万円) | |||
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 |
2009年3月期 | 46,440 | 1,374 | 1,471 |
2010年3月期 | 47,647 | 1,654 | 1,752 |
2011年3月期 | 49,313 | 2,080 | 2,223 |
2012年3月期 | 49,094 | 1,839 | 1,838 |
2013年3月期 | 48,427 | 1,412 | 1,431 |
2014年3月期(予) | 50,000 | 1,560 | 1,500 |
各種指標 | |||
安定性 | 流動比率 | 204.2% | 短期的な安定性に問題はない |
自己資本比率 | 61.3% | ||
収益性 | 営業利益率 | 2.9% | 営業利益は低下傾向にあり高い水準とは言えないが、資産回転率、ROAは高水準 |
資産回転率 | 167.3% | ||
ROA(営業利益ベース) | 4.9% | ||
成長性 | 売上高成長率(予) | 103.2% | 第一四半期時点では前年を上回っており今期目標にむけては順調だが、長期的視点での投資は低い。 |
営業利益率成長率(予) | 110.5% | ||
設備投資状況 | 79.6% | ||
売上高研究開発費比率 | 1.5% | ||
昨期との比較 | 売上高対前年比 | 98.6% | 売上拡大を目論み販管費に含まれる拡販費を増強したが注力商品以外が振るわず、結果として営業利益を圧迫する結果となった。 |
営業利益対前年比 | 76.8% | ||
営業利益率(今) | 2.9% | ||
営業利益率(昨) | 3.7% | ||
売上高売上原価率(今) | 51.4% | ||
売上高売上原価率(昨) | 51.8% | ||
売上高販管比率(今) | 45.7% | ||
売上高販管比率(昨) | 44.4% | ||
経常利益営業外損益率(今) | 1.3% | ||
経常利益営業外損益率(昨) | -0.1% | ||
主な各指標の解説 1.株関連指標 分析には特に使用しませんが分析時点での指標を記載してあります。 2.各種指標 ①流動比率(=流動資産÷流動負債×100) 120%以上であれば短期的には安全な企業であると判断しています。 ②自己資本比率(=純資産÷資産×100) 20%程度以上あれば問題ないと分析しています。 ③営業利益率(=営業利益÷売上高×100) 5%以上なければ収益性が低いと判断しています。 ④資産回転率(=売上高÷資産) 1倍程度を目安にし、大幅に少ない場合は資産を効率的に使用できていないと判断しています。 ⑤ROA(=営業利益÷資産×100) 営業利益を対象として分析しており、5%以上あれば収益性のある企業であると判断しています ※ROEは自己資本比率が低くなれば相対的に上昇する指標のため本分析では使用しません。また営業利益ベースで分析する理由は本業での収益性を見るためです。 ⑥売上高成長率(=来期予測売上高÷今期売上高×100)※営業利益成長率も同様の期を対象 ⑦設備投資状況(固定資産の取得金額÷減価償却費×100) 100%を割るのであれば設備の充実度が昨期よりも減ると判断しています。 ⑧売上高研究開発費比率(研究開発費÷売上高×100) 5%を超える企業は将来のための投資を積極的に行っていると判断しています。 ⑨経常利益営業外損益率(営業外損益÷経常利益×100) 本業以外の収益が経常利益に占める割合を分析しています。 ⑩その他の昨期との比較項目の計算式 売上高対前年比(=今期売上高÷昨期売上高×100)、営業利益対前年比(=今期営業利益÷昨期営業利益×100)、売上高売上原価率(=売上原価÷売上高×100)、売上高販管費率(=販管費÷売上高×100) |