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カゴメ

 

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http://business-analysis.hateblo.jp/entry/2013/08/17/155305

 

企業名 カゴメ(2811)
総評 「トマト」関連のシェアトップというポジションから競合企業よりもトマトブームの恩恵を最も受けており、また特定領域に特化した事業は比較的高水準な利益を生み出している。反動により今期の実績維持は難しいと予想されるが、健康志向の高まりを受けて業績は拡大傾向にあり、今後も成長基調を維持するものと考えられる。
将来予測 トマトブームの反動により2014年3月期は実績を落とす可能性が高いが、ダイエットを初めとした健康への意識の高まりは今後も上昇こそすれ、減少することはないことから健康に良いとされる食材の代表格となった「トマト」加工品の各カテゴリーで軒並みシェアトップに君臨する同社の実績は中長期的には拡大傾向で成長するものと予想される。ただし、トマト関連の市場は成長が鈍化する傾向にあるため、リーディングカンパニーである同社の積極的な需要喚起が今後の拡大には不可欠である。
また圧倒的シェアから生み出される利益を元に関連事業の拡大が行われており、通販やギフト、国外事業等が継続的に成長しているため、新たな収益源として確立しつつあることも今後の成長要因として挙げられる。
事業・業績の概況 同社の主な事業は国内飲料(構成比49%、前年同期比109%)、国内食品(業務用含む、構成比27%、前年同期比101%)、国外事業(構成比12%、前年同期比136%)で構成されている。※セグメント間取引の相殺分を考慮していないので合計は100%にはならない。
売上高の半分程度を占める飲料事業では2012年2月にトマトがメタボリックシンドロームを予防する効果があるという報道があったことで「トマトブーム」の恩恵を大きく受けトマトジュースが実績大幅拡大した他、野菜ジュースの売上も拡大している。
国内食品事業は主力のケチャップこそ横ばいだが、素材に近いトマトソース等が牽引しており、国外事業に関してもアジアで一部苦戦しているが欧米では拡大している。
事業環境
ポジショニング
国内飲料事業は主に野菜ジュースとトマトジュースで大半が占められている。野菜ジュースでは半数近いシェアを持っていると見られシェアトップである。主な競合は伊藤園で同社も含めた2社で市場の大半を寡占している状況である。健康に対する意識の高まりや野菜の価格高騰などを背景に市場は拡大傾向にあるが、果汁入りのタイプは果汁飲料へ需要が流出しつつあることや野菜100%のタイプも勢いに陰りが見え始めているなど市場は踊り場へと入りつつある状況である。トマトジュースでもシェアトップの座にいると見られ、シェアの半数近くを有している。競合はキッコーマン飲料で野菜飲料同様に上位2社で市場の大半を占める寡占市場となっている。2012年はトマトブームにより市場は一気に拡大しており、反動による市場縮小が懸念されるが健康飲料としての地位を確固たる物にしていることから今後も安定した需要が望めるものと予想される。
国内食品事業は主にケチャップやソースといった調味料とトマト加工品で大半を占められている。
調味料事業のうちケチャップでは圧倒的なトップだが、ソースでは2番手集団の位置にいると見られる。競合はケチャップではキッコーマン食品、ソースではブルドックソースとオタフクソースなどである。ケチャップやソース市場は成熟しきっており、また健康志向の高まりによって塩分の高い調味料を敬遠する消費者が増えていることや、PB等の台頭により単価が低下する傾向にあり、市場は縮小傾向にある。
トマト加工品は、ピューレやペーストなど素材に近い商品が中心で業務用ユーザー向けの商品の構成比が大きく、カテゴリーではシェアトップと見られる。競合ではキッコーマン食品やハインツ日本が挙げられる。トマトブームの恩恵で市場は拡大傾向にあるが、加工度の低いものでは低価格競争が激化し、トマト鍋などに代表される外食メニューの広がりにも落ち着きが見え始めており、安定した需要はあるが成長は鈍化している。
主な株関連指標(2013/8/22時点)
株価 年足最高値 年足最安値 時価総額
1,706円 1,880円 1,582円 169,946百万円
一株配当(実) 配当利回(実) PBR PER
22円 1.17% 1.67 26.19
業績推移(単位:百万円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益
2009年3月期 175,134 4,447 4,249
2010年3月期 171,937 6,397 7,304
2011年3月期 181,304 7,978 8,389
2012年3月期 180,047 8,466 9,213
2013年3月期 196,233 9,278 10,025
2014年3月期(予) 196,000 8,900 9,200
各種指標
安定性 流動比率 236.2% 短期的な安全性に問題はない
自己資本比率 61.8%
収益性 営業利益率 4.7% 利益、資産の効率的な有効活用等に関して優れていると言える。
資産回転率 116.1%
ROA(営業利益ベース) 5.5%
成長性 売上高成長率(予) 99.9% 当期は特需によって売上が大幅増したため来期は前年なみの予想。しかし過去の水準と比較すると成長性は高い。
営業利益率成長率(予) 95.9%
設備投資状況 160.4%
売上高研究開発費比率 1.5%
昨期との比較 売上高対前年比 109.0% 広告費等の経費の増加により販管費率が上昇しているが、売上原価率が低下しているため利益率に変化はない。
営業利益対前年比 109.6%
営業利益率(今) 4.7%
営業利益率(昨) 4.7%
売上高売上原価率(今) 50.7%
売上高売上原価率(昨) 51.6%
売上高販管比率(今) 44.5%
売上高販管比率(昨) 43.7%
経常利益営業外損益率(今) 7.5%
経常利益営業外損益率(昨) 8.1%
主な各指標の解説
1.株関連指標
分析には特に使用しませんが分析時点での指標を記載してあります。

2.各種指標
①流動比率(=流動資産÷流動負債×100)
120%以上であれば短期的には安全な企業であると判断しています。
②自己資本比率(=純資産÷資産×100)
20%程度以上あれば問題ないと分析しています。
③営業利益率(=営業利益÷売上高×100)
5%以上なければ収益性が低いと判断しています。
④資産回転率(=売上高÷資産)
1倍程度を目安にし、大幅に少ない場合は資産を効率的に使用できていないと判断しています。
⑤ROA(=営業利益÷資産×100)
営業利益を対象として分析しており、5%以上あれば収益性のある企業であると判断しています
※ROEは自己資本比率が低くなれば相対的に上昇する指標のため本分析では使用しません。また営業利益ベースで分析する理由は本業での収益性を見るためです。
⑥売上高成長率(=来期予測売上高÷今期売上高×100)※営業利益成長率も同様の期を対象
⑦設備投資状況(固定資産の取得金額÷減価償却費×100)
100%を割るのであれば設備の充実度が昨期よりも減ると判断しています。
⑧売上高研究開発費比率(研究開発費÷売上高×100)
5%を超える企業は将来のための投資を積極的に行っていると判断しています。
⑨経常利益営業外損益率(営業外損益÷経常利益×100)
本業以外の収益が経常利益に占める割合を分析しています。
⑩その他の昨期との比較項目の計算式
売上高対前年比(=今期売上高÷昨期売上高×100)、営業利益対前年比(=今期営業利益÷昨期営業利益×100)、売上高売上原価率(=売上原価÷売上高×100)、売上高販管費率(=販管費÷売上高×100)