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旭松食品

 

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http://business-analysis.hateblo.jp/entry/2013/08/17/155305

 

企業名 旭松食品(2911)
総評 ボリュームゾーンであるメイン事業が低迷しており、現在は売上拡大よりも収益構造の改善を優先すべき状態にあると考えられる。市場環境が良くないことも影響し、今後も苦戦が予想される。
将来予測 主力事業のうちメディカルフード以外の主力事業の市場環境は停滞もしくは悪化することが予想され、また主原料である大豆価格の高騰や円安に加えて販売単価の減少によって収益構造が圧迫されている。今後もこの傾向は続くもと考えられることから早急な収益構造の見直しが必要な状況となっている。このように余力がないため将来に向けた投資も少なく、不採算事業の縮小等が続いていることから売上の拡大は短期的には難しいと考えられる。
ただし、好調なメディカルフードを初めとして、増え続ける高齢者向けのメニューに使用される食材が中心のため需要を上手く取り込むことが出来れば長期的には縮小分を補うことができる可能性はある。
事業・業績の概況 同社の事業は凍豆腐(構成比39.3%、前年同期比97.6%)、即席みそ汁が主力の加工食品(構成比45.1%、前年同期比100.4%)、メディカルフードが主力のその他(構成比15.4%、前年同期比98.4%)で構成されている。
長期的に需要が減少し、近年は原料価格の高等によって収益性が悪化しているためメインの凍豆腐事業は苦戦しているが、加工食品はカップタイプの即席みそ汁や浅漬の素が牽引している。ただし浅漬の素は自主回収が発生している。
その他事業全体は不採算事業の縮小等によって全体は縮小しているが、メディカルフード事業は好調である。
近年は、メディカルフードを初め好調な事業もいくつか見られるが、ボリュムゾーンである凍豆腐や袋入りの即席みそ汁の需要減少を補えておらず苦戦傾向にある。
事業環境
ポジショニング
主要事業は凍豆腐、即席みそ汁、メディカルフードと見られる。
凍豆腐は、みすずコーポレーションや登喜和冷凍食品などと競合しており、大規模な食品メーカーは参入していない市場で、同社はシェアトップと見られる。市場は2000年代初期にはダイエット食としての需要が高まったことで需要が一時的に高まっていたが、調理に手間がかかることや需要が西日本寄りで地域食に近く全国的には認知度が低いことなどから需要は長期的に減少傾向にある。東日本大震災以降、調理にかかる手間やエネルギーを省くことのできる加工食品の需要が高まる傾向にあり、調理に手間のかかる凍豆腐は今後も苦戦するものと考えられる。
即席みそ汁は、永谷園やマルコメ、ハナマルキなどが上位メーカーで同社は5番手以下の中位メーカーのポジションにいるものと考えられる。東日本大震災以降に簡便性が高い点が評価され需要が高まる傾向にあったことに加えて、近年は大手コンビニチェーンが相次いでPBブランドをリニューアルするなどしているため特にカップタイプが伸びており、市場環境は良好である。ただし、同社も主力としている徳用の袋タイプは一食分の単価下落が激しく、各社苦戦傾向にある。現在は一時的に需要が高まっているが、今後はみそ汁とセットで食される米の需要減少やスープ類の多様化などによって需要が流出することが予想される。
メディカルフードは、主に食事が困難な高齢者などに向けて開発された加工食品を展開しており、マルハニチロ食品やホリカフーズなどが競合しており、同社は2番手グループの位置にいるものと考えられる。市場環境は、高齢化社会が進むことによって高齢者は増加し続けているため拡大傾向にある。高齢者を対象とした食事提供者(病院や施設など)の中には手作りを重視する人もかなりいるため苦戦している面も見られるが、今後こういった病院や施設での労働力における余力は減り続けることが予想されるため、調理の手間の少ないメディカルフードの需要は高まり続ける物と考えられる。
主な株関連指標(2013/8/18時点)
株価 年足最高値 年足最安値 時価総額
276円 350円 259円 2,590百万円
一株配当(実) 配当利回(実) PBR PER
5円 1.81% 0.32
業績推移(単位:百万円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益
2009年3月期 18,034 -674 -674
2010年3月期 17,346 -45 -74
2011年3月期 15,211 507 514
2012年3月期 10,452 40 58
2013年3月期 10,363 1 -29
2014年3月期(予) 10,600 100 120
各種指標
安定性 流動比率 306.3% 短期的な安全性には問題はない
自己資本比率 74.3%
収益性 営業利益率 0.0% 資産回転率は適正範囲内だが、営業利益がほぼ0のため収益性は非常に悪い。
資産回転率 98.4%
ROA(営業利益ベース) 0.0%
成長性 売上高成長率(予) 102.3% 減収減益傾向が続き、主要事業の環境も良くなく、設備や将来への投資が少ないため成長性は低いと予想される。
営業利益率成長率(予) 10000.0%
設備投資状況 71.7%
売上高研究開発費比率 0.6%
昨期との比較 売上高対前年比 99.1% 売上高が減少する中、燃料費や円安による輸入原料価格の上昇などによって売上原価が上昇しているため利益が圧迫されている。
また今期は休止固定資産維持費や製品自主回収費が営業外損失として計上されており、赤字の要因となっている。
営業利益対前年比 2.5%
営業利益率(今) 0.0%
営業利益率(昨) 0.4%
売上高売上原価率(今) 76.6%
売上高売上原価率(昨) 75.0%
売上高販管比率(今) 23.4%
売上高販管比率(昨) 24.6%
経常利益営業外損益率(今)
経常利益営業外損益率(昨) 31.0%
主な各指標の解説
1.株関連指標
分析には特に使用しませんが分析時点での指標を記載してあります。

2.各種指標
①流動比率(=流動資産÷流動負債×100)
120%以上であれば短期的には安全な企業であると判断しています。
②自己資本比率(=純資産÷資産×100)
20%程度以上あれば問題ないと分析しています。
③営業利益率(=営業利益÷売上高×100)
5%以上なければ収益性が低いと判断しています。
④資産回転率(=売上高÷資産)
1倍程度を目安にし、大幅に少ない場合は資産を効率的に使用できていないと判断しています。
⑤ROA(=営業利益÷資産×100)
営業利益を対象として分析しており、5%以上あれば収益性のある企業であると判断しています
※ROEは自己資本比率が低くなれば相対的に上昇する指標のため本分析では使用しません。また営業利益ベースで分析する理由は本業での収益性を見るためです。
⑥売上高成長率(=来期予測売上高÷今期売上高×100)※営業利益成長率も同様の期を対象
⑦設備投資状況(固定資産の取得金額÷減価償却費×100)
100%を割るのであれば設備の充実度が昨期よりも減ると判断しています。
⑧売上高研究開発費比率(研究開発費÷売上高×100)
5%を超える企業は将来のための投資を積極的に行っていると判断しています。
⑨経常利益営業外損益率(営業外損益÷経常利益×100)
本業以外の収益が経常利益に占める割合を分析しています。
⑩その他の昨期との比較項目の計算式
売上高対前年比(=今期売上高÷昨期売上高×100)、営業利益対前年比(=今期営業利益÷昨期営業利益×100)、売上高売上原価率(=売上原価÷売上高×100)、売上高販管費率(=販管費÷売上高×100)