企業分析の手法と考え方はこちらで確認してください http://business-analysis.hateblo.jp/entry/2013/08/17/155305 |
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企業名 | 養命酒(2450) | ||
総評 | 安定した売上と潤沢な資産により安全性は非常に高いものの、資産の有効利用や将来への投資金額の低さ、次世代事業育成の遅れなどが見られ中長期的な成長は難しい。 | ||
将来予測 | 主戦場である国内薬用酒市場は安定した需要があり、同社のポジションも磐石と言える位置にいるが、長期スパンでは市場は縮小傾向にあるため、他事業を育成する必要がある。 ただし、現状同社が注力しているハーブ酒は今期は大幅な実績減となっており、苦戦を強いられているため中期的な企業規模拡大は難しいと予測される。 |
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事業・業績の概況 | 主力事業である「養命酒」は国内外共に堅調に推移したが、その他に関しては施設関連事業は微増したもののハーブ酒事業は減少している。利益に関しては広告費等の抑制により大幅増となっており、財務体質の改善が見られる。 売上の安定性、収益性にはなんら問題はないが、ほぼ「養命酒」に売上の大半が占められており、当該商品になんらかのアクシデントが発生した場合のリスクは非常に高い。 また同社の特徴としては本業以外での収益が大きく、営業外収益が経常利益に対して占める構成比が高いことが挙げられ、豊富な資産を活用した財テクが貢献している。 |
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事業環境 ポジショニング |
養命酒の売上の大半を占める国内薬用酒市場は、その他に「黄帝酒」で参入している佐藤製薬などがいるが、養命酒が市場シェアの9割以上を占める寡占市場となっている。 薬用酒市場は、中高年層を主要ユーザーとして身体不調に対応する用途として固定ユーザーに支えられているため需要の大きな変動はないが長期スパンでは微減推移となっている。 今後も同様の傾向が続く物と考えられるが、主要顧客である中高年層の新規ユーザーを取り込むことが出来れば高齢化社会が進んでいるため市場拡大の可能性も考えられる。 |
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主な株関連指標(2013/7/30時点) | |||
株価 | 年足最高値 | 年足最安値 | 時価総額 |
801円 | 907 | 731 | 26,433百万円 |
一株配当(実) | 配当利回(実) | PBR | PER |
18円 | 2.25% | 0.74 | 19.72 |
業績推移(単位:百万円) | |||
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 |
2009年3月期 | 13,734 | 2,351 | 2,614 |
2010年3月期 | 12,323 | 1,607 | 1,838 |
2011年3月期 | 11,640 | 821 | 1,049 |
2012年3月期 | 11,589 | 1,363 | 1,585 |
2013年3月期 | 12,052 | 1,704 | 1,937 |
2014年3月期(予) | 12,710 | 1,890 | 2,110 |
各種指標 | |||
安定性 | 流動比率 | 412.4% | 業界内でも上位に入る安全性の高さを誇る |
自己資本比率 | 89.0% | ||
収益性 | 営業利益率 | 14.1% | 売上に対する営業利益率は高いが、保有する資産量からすると効率は悪い |
資産回転率 | 32.9% | ||
ROA(営業利益ベース) | 4.6% | ||
成長性 | 売上高成長率(予) | 105.5% | 事業規模を維持するための投資は行われているが、研究開発費はやや低い。 |
営業利益率成長率(予) | 110.9% | ||
設備投資状況 | 102.1% | ||
売上高研究開発費比率 | 3.6% | ||
昨期との比較 | 売上高対前年比 | 104.0% | 売上高の上昇分に対して営業利益率の伸びが非常に高い要因は売上原価と販管費の構成比が減少していることにある。 これは主力の「養命酒」事業の構成比が高まっていることに起因する物と予測される。 |
営業利益対前年比 | 125.0% | ||
営業利益率(今) | 14.1% | ||
営業利益率(昨) | 11.8% | ||
売上高売上原価率(今) | 32.7% | ||
売上高売上原価率(昨) | 33.6% | ||
売上高販管比率(今) | 53.2% | ||
売上高販管比率(昨) | 54.6% | ||
経常利益営業外損益率(今) | 12.9% | ||
経常利益営業外損益率(昨) | 15.2% | ||
主な各指標の解説 1.株関連指標 分析には特に使用しませんが分析時点での指標を記載してあります。 2.各種指標 ①流動比率(=流動資産÷流動負債×100) 120%以上であれば短期的には安全な企業であると判断しています。 ②自己資本比率(=純資産÷資産×100) 20%程度以上あれば問題ないと分析しています。 ③営業利益率(=営業利益÷売上高×100) 5%以上なければ収益性が低いと判断しています。 ④資産回転率(=売上高÷資産) 1倍程度を目安にし、大幅に少ない場合は資産を効率的に使用できていないと判断しています。 ⑤ROA(=営業利益÷資産×100) 営業利益を対象として分析しており、5%以上あれば収益性のある企業であると判断しています ※ROEは自己資本比率が低くなれば相対的に上昇する指標のため本分析では使用しません。また営業利益ベースで分析する理由は本業での収益性を見るためです。 ⑥売上高成長率(=来期予測売上高÷今期売上高×100)※営業利益成長率も同様の期を対象 ⑦設備投資状況(固定資産の取得金額÷減価償却費×100) 100%を割るのであれば設備の充実度が昨期よりも減ると判断しています。 ⑧売上高研究開発費率(研究開発費÷売上高×100) 5%を超える企業は将来のための投資を積極的に行っていると判断しています。 ⑨経常利益営業外損益率(営業外損益÷経常利益×100) 本業以外の収益が経常利益に占める割合を分析しています。 ⑩その他の昨期との比較項目の計算式 売上高対前年比(=今期売上高÷昨期売上高×100)、営業利益対前年比(=今期営業利益÷昨期営業利益×100)、売上高売上原価率(=売上原価÷売上高×100)、売上高販管費率(=販管費÷売上高×100) |